【よもやま話】ヨリムは「成均館のオスカー」である
よっ!色男!
というわけでね(前置き省略)。
このドラマの超絶キーパーソンですよね、この人。
「나 구용하다?(俺はク・ヨンハだぞ?)」でおなじみの、女林(ヨリム)ことク・ヨンハさん。
ヒロインがいて、ヒロインと恋仲になるキャラが居て、そのライバルとなるキャラが居て…って、ここまではよくある三角関係の人物配置。
ここから他のドラマとどう差別化を図るかってのがミソなわけで、「成均館スキャンダル」は「ク・ヨンハ」というキャラクターを投入してるんですが、このキャラクター造詣がね…
まあ絶妙なんすよ!
どの党派にも属さず、主人公たちにとって敵のような味方のような、なんとも判然としない立ち位置。
ふざけているようで真面目、真面目なようでふざけていて、派手な衣装に身を包み本音をなかなか見せず。
それでいて1話の冒頭から最終回のほぼ最後まで出ずっぱり。
このとても難解な役をソン・ジュンギは見事に演じたと思います。もう彼以外には考えられないくらい強烈な印象を残しました。
でもってドラマを観ている間、私の頭の中にはずっとこのフレーズがこだましてたのです。
ヨリムってさあ…
オスカーじゃん!
もうこれ、オスカーじゃん!
は?オスカーって誰やねん?
説明しよう!
オスカーとは萩尾望都先生のかの名作「トーマの心臓」に出てくるキャラクター、オスカー・ライザーのことです。
ご存じない方のためにざっくり説明すると、「トーマの心臓」はドイツの全寮制の男子校を舞台に「人間の愛という普遍的かつ宗教的なテーマを描いた」作品です…ってウィキ先生が言ってた。壮大すぎる。
その中の生徒の一人がオスカーです。
留年してたり複雑な家庭環境だったりで、同級生よりも言動も大人びており、物事も俯瞰的に捉えられ、教師たちからも一目置かれているミステリアスなキャラクター。
そんな彼は迷える子羊のごとき主人公たちを見守ったり、励ましたり、助言したり…なんだかんだ言うて頼れる皆のいい兄貴なんですけど…
その感じがなんともヨンハと重なっちゃうんです。
心なしかビジュアルも似てません?w
オスカーは主人公に「ル・ベベ(赤ちゃん)」ってあだ名をつけたりしてからかうんですけど、こういうとこも似てるし。
男子校が舞台になってて、友情以上の思いを持つ相手もいて、いざという時はみんなのまとめ役で…ああ、書けば書くほどオスカーw
私はこのオスカー的なサブキャラが大好きでして。
こういうキャラがいるのといないのとでは物語の膨らみ方が全然違ってくると思うんですよね。
ストーリーをメインで引っ張っていく必要がない分、すごく自由に動ける。良く言えばなにかと重宝、悪く言えばなにかと便利なキャラw
この台詞誰に言わせよう?こういう行動誰にさせよう?主人公にやらせるのはちょっと難しいな…ってときに使えるのがオスカー的キャラではなかろうか。こういうキャラって勝手に動き出すとか言いますもんね、脚本家の方々。
他に思いつくのは「ここはグリーンウッド」の光流先輩なんかもその系統かな~?あの人をおちょくる感じのところ、彼もオスカーの系譜だと思いますw
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ソン・ジュンギはそんなに出番がない役かもしれないと思ってたらしいけど、いやいや、もう君無しでは成立せんだろ、というような重要キャラクターに仕立てあげたのは脚本もさることながら本人の魅力や演技力も大いにあると思います。
あまり演技の上手下手に興味がない(よくわからない)私でも、上手いなあ!って唸るようなシーンがたくさんあって、よくぞこの人を見つけてキャスティングしたと思います。褒めて遣わそう(偉そうに)
ヨンハの行動やセリフは本編とは直接関係なくても含蓄のあるものがたくさんあって好きです。特にヒョウンへの愛あるお説教(17話)は秀逸でした。
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ところでヨンハは女林(ヨリム)というあだ名(原作で意味を知って苦笑)のとおり女好きというキャラになってますが…
言われるほど女性に興味はないのでは?って感じます、特にドラマ版は。
といって、じゃあ異例のベストカップル賞wを受賞したみたいにコロとヨリムは同性愛的な関係だったのか?というと、そこまでの感じもしなくて。
女性とか男性とか関係なく人間そのものに興味がある人のような。
人間観察が得意で、それが並々ならぬ洞察力に結びついている人のような。
そんなヨンハはソンジュンよりも原作からの改変が大きめの人物だけど、ドラマはこれで正解だったのではないでしょうかね。
というわけで、他のドラマや映画などでもこういうキャラを見つけたら「お、こいつはオスカーだな?」と思ってつい見てしまうのでした。
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蛇足ですが。
「トーマの心臓」を翻案した「1999年の夏休み」という日本映画があるんですが、私これもめっちゃ好きでして…。
これについても語りだしたらやめられない止まらない状態になるので、またいつか改めて。