風味絶佳

エンタメは人生のスパイス

【つまみ食いレビュー】観始めたら止まらない「ザ・グローリー」について語ります(ややネタバレあり)

やというわけで「どこも人が多くて出かけるのはね…」という私と同じタイプの方へプレゼンするドラマ・第一弾

つい先日開催された百想芸術大賞で作品賞、主演女優賞、助演女優賞を獲得した「ザ・グローリー」のレビューをしていきます!

www.netflix.com

おれ、この繁忙期が終わったらビンジ(一気見)するんだ…と楽しみにしていたドラマ。
それでいそいそとNetflixにログインして視聴開始したら、ほんとうにやめられない止まらない面白さ!

主演のソン・ヘギョのことも含め、語りたいところがたくさんあって余裕の5,000字超えです。
お茶でも用意して読んでくださいませw

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ヘギョヘギョとの出会い

実は「太陽の末裔」も「トッケビ」もそこまで猛烈にはハマらなかった私。
なので、このドラマの脚本家であるキム・ウンスクとソン・ヘギョが再びタッグを組んで~というプロモーションに当初はそこまで興味をそそられなかったんですよね。

じゃあ何がポイントだったかというと、「復讐もの」というジャンルが好きなのと、ソン・ヘギョが冷酷な役を演じるということ。

ソン・ヘギョと言えば、私にとっては非常に思い出深い女優でして。

それはそれは遥か昔、「冬のソナタ」が放送されていた頃。

韓国ドラマとヨン様にハマったAちゃんという友人がいまして。

今みたいに多くの韓国ドラマが配信されたり地上波で放送されたりって時代じゃなかったので、韓ドラにハマってた人たちっていうのはドラマDVDを買いまくってたんですね。

Aちゃんも韓国ドラマのDVDを大量に所有してまして、いろんな人に貸して布教してたんですよw

ちなみにAちゃん、2010年当時に「成均館スキャンダル」をおすすめしてくれた人でもあるですけど、なんとわたくし、それをスルーしてしまいまして…。
実に忸怩たる思いですw

この記事でそのあたりのことを書いておりますのでよかったら。

cinnamon2020.hatenablog.com

私は韓国映画は昔から好きでよく観てたんですがドラマはあんまり…って感じで。

なぜかというと

とにかく長すぎるから

日本の連ドラ10話でも完走できないときがあるのに、あんな異様に長いドラマ無理、と思ってたんです。
今となっては全20話ぐらいなら普通と思えるぐらいになって、慣れって怖いですねw

でもって私、その当時ウォンビンにハマってたので「じゃあ、これおすすめ!」と貸してくれたのがこのドラマ。

これがヘギョヘギョとの出会いです(以来、ヘギョヘギョという愛称を勝手に付けてますw)


冬のソナタ」と同じく四季シリーズの最初の作品。

韓国ドラマの定番要素(血のつながらない兄妹、貧乏一家とお金持ち一家の対比、不治の病など)がいっぱい詰まっていて、なおかつ独特な世界観に衝撃を受けましたw

この頃、私はハングルもまともに読めないし、知ってる言葉と言えば「アンニョンハセヨ」ぐらいだったのですが、これでたくさん韓国語を覚えました。

なかでも「オッパ」は完全に習得しましたwww

いやー、このドラマのなかで「オッパ」という語句が出てきた回数、ゆうに三桁は超えてると思う、数えてないけどw

ヘギョヘギョの言うオッパの威力がすごくて、またヘギョヘギョも初々しくて可愛くて、ここから韓国ドラマを観るようになりました。

超好みのヘギョのビジュアル

とにかく私、ヘギョヘギョの造形というんですかね、顔立ちとかスタイルとかがめっちゃ好みなんですね。

大人っぽい顔立ちなんだけどキュートさがあって、その顔に似つかわしくないようなグラマラスなスタイルとのギャップ。
若いときはけっこうふくよかだったので、病に侵されるシーンでは無理やりメイクでやつれた感を出していたのが印象に残っていてw

シリアスなシーンなのにこんなん笑うやろ…

そのぽっちゃりのイメージがずっとあったので、今回めちゃスリムになってて驚きました。

なんでも、いじめによる体のキズを見せるための下着姿のシーンがあって、そのためにダイエットして体重をかなり落としたんだとか。
視聴者にはドンウンがやせ細って哀れと思ってもらわないといけないでしょ?って。さすがです。

さらに今回は可愛い笑顔も封印して、話し方の抑揚も抑えて、ファッションもモノトーンで統一したクールなものが多くて、でもそれがとても似合ってた!
明るい愛されキャラより、こっちのほうが断然いいじゃん!って思いました。

たぶんパーソナルカラーでいうと、ヘギョは冬タイプ(2nd春?)ですよね?
髪も明るい色より真っ黒が似合うから、今回の「無彩色ファッション」のスタイルもかっこよく着こなしてました。

これと対比するようにヨンジンのファッションは華やかでカラフル、本国でも放送後売り切れたりしてたそうです。

 

そんなわけで「キンパをかぶりつきながら虎視眈々と敵を監視しているダークなヒロイン」という新境地を見事に開拓した感がある今作のヘギョヘギョが主演女優賞を受賞して、私も満足ですw

涙を見せることなく「本当に(この賞が)欲しかった」と言い切ったスピーチがかっこよかった!

出演者キラーの異名もあり

共演した俳優と熱愛だのなんだのと浮名を流すことも多いことから出演者キラーの異名を持つヘギョヘギョだけど、その出演作の中に「オールイン」というのがあってですね。

今回、グローリーで、ドンウン(ヘギョ)に向かって言う台詞のなかに、この「オールイン」という単語が入ってるのがあって、ちょっと笑ってしまいました。

オールインで共演したイ・ビョンホンは特に交際期間が長くて、結婚秒読みとまで言われてたのに破局したんですよ、…ってなんかゴシップ記者みたいになっとるな、私w
そういういわくのある作品名を台詞に入れた脚本家も、OKしたヘギョヘギョも、鋼メンタルだわ。

ヘギョヘギョ、実は(?)反日活動でも有名な人でもあるんですが、私はそこはあまり気にしないというか。
本業そっちのけでそんな活動ばっかりならイヤだけどw、いちおう仕事しているんで。

モテモテな愛されヒロインキャラが多かったけど、これからは年齢的にもキャリア的にも、へええ!こんな役を!?っていう意外なキャラ路線でいってほしいなー。

ヘギョヘギョの話が長くなったので、肝心のドラマに話を戻しますねw

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ふたりのキーパーソン

物語は高校時代に凄惨ないじめを体験したドンウンが18年後に加害者たちに復讐していくというサスペンス。
そこに、ドンウンの前にいじめにあっていた同級生ユン・ソヒの自殺の真相や、加害者グループのひとりであるソン・ミョンオの失踪の謎も絡んできて…という展開。

このいじめシーンがマジで辛くて、ほんとスキップしながら視聴しましたね。
高校生時代のヨンジンも超最悪でした(褒めてる)

それでもストーリーとしては珍しいものではないというか、どちらかというと荒唐無稽な部分もあったりして、そこにモチーフを散りばめ、伏線を回収させて見ごたえあるものにしているのは脚本の力でしょうね。

特にこのドラマのキーパーソンとなる人物が2人いると思っていて。

1人目は「ひょんなことから」という表現がぴったりの出会いでムン・ドンウン(ソン・ヘギョ)の復讐を手伝うことになるカン・ヒョンナム(ヨム・ヘラン)

2人目はいじめグループのリーダー、パク・ヨンジン(イム・ジヨン)の夫である、建設会社社長のハ・ドヨン(チョン・ソンイル)

このふたりのストーリー展開への関わり方と、キャラクターとしての変化がとてもよかった!

ヒョンナムは夫の家庭内暴力に苦しみ、夫の殺害を交換条件にドンウンの復讐計画に協力を申し込むんだけど、根は陽気で人懐こいキャラという設定なので、このドロドロした復讐劇のなかの清涼剤というかw
貴重なコミカルなパートを担当していて、ヨム・ヘランの演技がとても素晴らしかったです。

ドンウンは復讐遂行のために自分の感情を殺して生きているんだけど、ヒョンナムとの交流で氷のハートが溶けていくんですね。
それに気づいたドンウンが、自分たちは近く(親しく)なりすぎた、ビジネスライクな関係に戻そうって言うあたりは切なかったなあ。

後半、夫に耐えているだけだったヒョンナムが、娘の幸せのために覚悟を決めて、敵を欺きながら戦っていく姿がなんともかっこよかったです。

一方のハ・ドヨンは最初つかみどころのないキャラで。

富裕層の鼻持ちならないスノッブなキャラをガンガン出してくるし、ヨンジンと結婚するぐらいだから「こいつもクセモノのワルか?」と思っていたんだけど、ドンウンとの関わりによって彼も変わっていきます

面白かったのがコンビニのシーン。

物語の序盤、ドンウンとコンビニで会ったときに、ドンウンから「食べる?」っておにぎりをすすめられるんだけど「こんな庶民が食べるようなジャンクなもの…」って態度を取るんですねw

それが終盤では、ひとりでコンビニに行って黙々とおにぎり食べるシーンがあるのよ。
こういうところでドヨンの変化を表現していてうまいなあと思いましたね。

様々なモチーフの使い方のうまさ

このドラマのモチーフのなかでも異色なのが囲碁

復讐していく様子を囲碁の勝負になぞらえてたり
囲碁が趣味のハ・ドヨンに近づくきっかけに利用したり
ドンウンに囲碁を教えてくれるのが「協力者兼王子様」として登場するチュ・ヨジョンだったり

オープニングにも登場して、すごく効果的に使っていて感心しました。

そうそう、チュ・ヨジョンを演じたイ・ドヒョン、どこかで観たことあるなあと思ってたら、「Sweet Home」のお兄ちゃんだったのでびっくり。

彼は27歳なんだけど、役柄上では41歳のヘギョから「先輩」と呼ばれる関係という…w

あと、グリーンのパンプスや、いじめに使ったヘアアイロンといったドラマの中での重要な小道具なども、オープニングやティーザーなどで効果的に見せていて、こういうところに凝ってるドラマ大好きなので、マジマジと観察してしまいましたw

 

ポスターもひとひねりありで。

ドンウンの住むアパートの管理人(この人も良いキャラ!)がアサガオをドンウンに差し出すときの台詞があって、こんなふうに言うんですね。

 地面に向かって咲くのは天使
 空に向かって咲くのは悪魔

このポスターでも、視線を下に向けているのは善の側、上に向けているのは悪の側になっていて凝ってるなー!と感心しました。

クズ・オブ・ザ・イヤーな悪役たち

このドラマに出てくる悪役がこれまた底無しのクズどもで、だからこそ復讐が成功して溜飲が下がるカタルシスがあってよかったんですけどw

いじめグループの同級生をはじめ、ドンウンやヨンジンの毒親に、最低最悪の担任教師に、汚職刑事に、ヒョンナムのDV夫に、ヨジョンの父親を殺害した殺人鬼に…と、ほんとうに「胸糞悪い」と言う言葉がぴったりの人々で。

そして、この悪役たちがすぐキレちらかして、言葉遣いも口汚いんですよww

マジで老若男女問わず、ハングル版Fワードのオンパレード
「씨발」が可愛く聞こえるレベルww

日本語字幕の翻訳者の苦労がしのばれたというか、一体どんなふうに訳してるのか吹き替え版と英語字幕を確認したぐらいでしたw

ここは台詞含め、好きだった対決シーンなんですが。

ヨンジン
 マジでぶっ殺されたいの?

ドンウン
 目を覚ましな
 殺すのは私よ
 このクソ女

珍しくドンウンが強めの罵倒を使って言い返してて、驚いてるヨンジンに胸がスーッとしましたw


しかし、マジでヨンジンの性悪さはサイコパスレベルでぶっちぎりなんですが

この顔よ!


逆に小物すぎてクズという悪党たちもよかった。

イジメグループにもヒエラルキーがあって、ドンウンたちがいなければ自分たちがターゲットになっていただろうって感じなのが、高校時代からパシリ役のふたり。

のちに失踪するミョンオ千原ジュニアに見えてしかたなかった)と

悲惨な末路のヘジョン

いじめグループの女性チーム3名の力関係と性格がよくわかるシーン、なぜかグンちゃんがパロディをしていて、すごく似ていて大笑いしましたw

彼らも一枚岩では全くなく、ドンウンの仕掛けによってパワーバランスが崩れていき、共食い状態になっていくのが見ものです。

タイトルにこめた”グローリー”の意味

ネトフリでは邦題にありがちな「~輝かしき復讐~」という余計に見えるサブタイトルがついているんですが、たしかに「ザ・グローリー」だけでは復讐劇というのは伝わりにくくはあります。

理由をドラマの台詞から引用すると、いじめにあった被害者が復讐によって取り戻せる数少ないものが「人間としての尊厳、名誉」というところからきているようです。

それと、英題が「Morning Glory(アサガオ)」となってて、このアサガオの花もモチーフのひとつになので、そのあたりのダブルミーニングもあるのではないかと思います。


正直、ラストのヨンジンへの復讐の総仕上げは、私は物足りない感じがして。
他のいじめメンバーへの報復はわりと満足なんですが、ぶっちぎり性悪ヨンジンの最後があれだけ?っていう気持ちがあってですねw

でも、他の方の感想で「永遠に秘密を知らないままで罪を償わせられていることがヨンジンにとっての最も残酷な仕打ちではないか」とあって、なるほどと。

ドンウンにとって体の傷は復讐を忘れないための戒めみたいなもので、人前で絶対に晒さないものだったけど、最終回では服を脱いで腕を出すようになったんですね。

その腕の傷あとのうえにはアサガオのタトゥーが。

これにてドンウンの「名誉」は一応回復されたとみてよいのでしょうが、なんだかまだ続編が出来そうな終わり方だったのが気になります。

でも、全体的には展開にダレもなくて話数も16話でちょうどよい長さで連ドラというものを久々に堪能しました。

 

余談ですが、このドラマの放送後にイム・ジヨンとイ・ドヒョンの交際が発覚というオマケがありまして。

そこがくっつくのかー!そこまで共演シーンなかったやんけー!と思いましたがw、「太陽の末裔」に続いてまたもドラマ内カップルの誕生…ハッピーエンドを祈ります。