【つまみ食いレビュー】主演ではないユチョンの魅力を味わえる「ルシッドドリーム」について語ります(超ネタバレあり)
わたくし、感想というかレビューを書くうえでのポリシーというと大げさですが、これでも一応ありまして
ネタバレは極力避ける
特にミステリーとかサスペンス系のものは
というのは気を付けてはいるんですわ。
でも今回の作品はね、はっきり言っておきます。
無理。
これ、ネタバレせずにレビューするの無理。
だってさ、この映画のメインキャストなんだけど
コ・ス(息子が行方不明の主人公)
ソル・ギョング(失踪事件の担当刑事)
というラインナップで
ソル・ギョングがキーパーソンと思わない人おるの?っていうw
というわけで、最初に言っちゃいますが
先生!こいつが犯人です!
だいたいソル・ギョングがただの優しい刑事(役)で終わるわけがないw
そこへ、病気の娘がいるとか何とか、いわくありげな伏線を張っているところから「あ、こいつが黒幕だな」ってわかります。
それでもね、そういう見通しが立っちゃっても普通に楽しめましたので、ネタバレにめげずに観ていただきたいw
韓国版インセプション
というわけで(?)
Netflixだけでしか観られない「ルシッド ドリーム」について語っていこうと思います。
タイトルの「ルシッド ドリーム」は明晰夢、つまり「夢だと自覚している夢」を意味するとのこと。
これをモチーフにした作品といえば「インセプション」が有名なので、この作品も一部では「韓国版インセプション」と呼ばれているようです。
劇中では、この「夢」が犯罪捜査に利用されていて、FBIでも実績があるという設定になってましたが、実際どうなのかはわかりませんw
3年前に遊園地で遊んでる最中に息子を拉致された主人公は、その解決方法として「明晰夢」のなかで当時の状況を追体験して手がかりを探そうとする…というのがおおまかなあらすじです。
この「夢」を利用するにはいろいろ運用ルール(?)があって
①夢か現実かわからないときは時計を見る(秒針が動いてなければ夢の中)
②現実に戻るときはあらかじめ持たされているスイッチを押す
③夢を見ている途中で本体が死んだら夢の世界から戻ってこれない
というもので、これらが展開のなかでもエッセンスのように効いてくるのですが、個人的に②のスイッチがなんかおもちゃみたいで、もうちょっと凝ってくれよーとは思いましたw
主演ではないユチョンを見る楽しさ
そんなことより、ウリユチョンはどうだったんだい!?
と気になっておられるファンの方も多いかもしれません。
これもはっきり言いましょう。
出番は正味10分もありません。
これがユチョンでなければならない役だったか?と聞かれると、うーん…と言葉に詰まりそうですw
しかし、それでも見て損はないかなとは思います。
それはなんといっても
主人公ではない俳優・ユチョンの存在を堪能できる貴重な作品だから。
主演ドラマで御曹司やら世子様やらを演じて、ロマンチックなキスシーンを披露してくれるユチョンではなく
自分の境遇のせいでひねくれて、ひきこもってはパソコンであれこれハッキング行為で憂さ晴らしをするギーグ(オタク)という
いわば、レアキャラのユチョンが楽しめるからですw
ユチョンはまず主人公の夢の中に出てくる謎の男として登場します。
ブラックスーツを着込んで、髪も七三どころか八二分けぐらいまでして、いかにも怪しげな風貌です。
しかし現実世界の姿は前述のとおり、ホトちゃん風味のオタク男子。
ただ、なぜ彼が他人の夢の中に潜入するといったような悪戯をしていたかというと、そこはちょっと切ないところもあり。
本人は「退屈だったから」とは言っているんだけど、足が不自由な彼が、普通に歩いたり走ったり、好きなところへ行けたりという自由を疑似体験できる方法なんですよね。
夢の中のバシッと決めたスーツ姿も、こんなふうになりたいという願望の現れなんだろうな、と思ってしまいました。
私は夢の中の「謎の男」より、人をおちょくったようなひねくれオタク男子のユチョンの演技がとにかく楽しくて、これこれ、これだよ、王子様もいいけど、こういうクセのあるやつがもっと見たいんだよーとワクワクしましたw
鍵は「夢を共有する」ということ
あらすじの前半は「主人公が自分の夢の中に入る」ということがベースで話が進むんですけど、これだけで終わるならストーリー展開としては厳しいなあと思いながら見てたんですね。
夢の中に入って、調べて、入って、調べての繰り返しで、なんか出オチみたいな。
それが、ユチョンの登場により「他人と夢を共有する=他人の夢の中に入る」ことも可能だということが提示されて、後半はそれがキーポイントになってまた展開に勢いがつくのです。
なので、ユチョンの役は出番としては短いんですけど、鍵になる部分を担っていたと思います。
そして真犯人は誰か?息子はどうなったのか?という核心に迫っていくのですが、正直ここに至るまでは、私の苦手な警察無能パターンと思ってました。
「警察無能パターン」とは何ぞやという方は、詳しくはこちらのレビューをご参考までw
とにかく
・3年経っても捜査に進展なし
・現場に駆け付けるのが遅い
・逮捕した容疑者が署内で自殺
というポカをやらかしまくってたので、「あー、この作品もまた警察や刑事を無能にして話を進めるやつかい」と思っていたけど、なんのことはない
刑事が犯人だから
っていうオチでした。
でも、やっぱりなー、そうだよなー、ソル・ギョングだもんなーということで私の中ではすんなり納まりましたw
父性に焦点をあてた興味深さ
主人公は妻が出ていった(離婚した?)ので息子をひとりで育てているシングルファーザーで、一方の刑事も父一人娘ひとりという設定。
どちらも子どもを思う気持ちが強い「父性」の象徴のキャラになっていましたが、それを際立たせるためなのか「母親」の存在が全然出てこないのが印象的でしたね。
記者である主人公に関わる人物として、いろんなオヤジ(ジジイ)キャラが出てくるんですが、その人たちもいい味出してましたw
敵対したり協力したりと関係性は様々ですが、彼らもまたある種、主人公の「父親」みたいな役割を担っているような気がしましたね。
あと、主人公のコ・スは二枚目のモムチャンで有名な方だそうなのですが、この父親役をするにあたり見事なビール腹まで作って「くたびれたアッパ」をやってました。
いやー、自分がファンだったら役作りだとしてもちょっとショックかもw
ドリーム系SFの入門編として
最後の結末に向かっての展開はちょっと速足というか、消化不良なところがあるのは否めないかなと。
あの味のあるシルバー人材センターのオヤジは助かったの?
ソル・ギョングは結局死んだの?
なによりユチョンどうなったーーー???
ユチョンさん、登場シーンの演出がかっこよかっただけに、尻切れトンボみたいなフェードアウトがもったいない…。
ただまあ、いろいろツッコミも入れましたが、物語がひどく破綻しているということもないし、考察が必要な難しい設定もないし、韓国映画や韓国ドラマがお好きで「インセプション系の作品を見るのが初めて」という方なら気軽に観てもよい作品ではないかと。
息子はどうなったのか?
という最も大切なポイントはネタバレ回避いたしましたので、よかったら一度ご覧あれ。